「親を嫌いになってはいけない」と思っていた

前回の続きです。

暴君の父親、無自覚差別の母親。
私は、ずっと両親のことが大嫌いでした。

親としての義務

でも、彼らは親としての義務を放置していた訳ではありません。
住む家がなくて困るとか、生活に必要な物を買ってもらえないとか、そんなネグレクトみたいなことはありませんでした。
奨学金も使ったものの大学まで出させてもらいました。

「むしろ良い親じゃん」
そう言われると、何も言えませんでした。
確かに、私も親に甘えていました。実家で暮らしていましたし、アルバイト代は全部自分のために使っていました。
でも、心の中にはずっとモヤモヤとした気持ちがありました。

きっかけ

3社目に入社後の私は、こんな人間でした。

・感情をコントロールできず、すぐ怒る
・思ったことをすぐ口に出してしまう
・責任転嫁したり、自分は正しいと思いがち
・誰も自分を分かってくれないと拗ねる
・人の話を聞けない

お気づきかと思いますが、当時の私は、暴君である父親と同じ行動や考え方をしていました。まったくの無意識でした。

気づかせてくれたのは、ある先輩の一言。

「あなたは、もういい大人なんだから」

ハッとしました。
もう20歳はとっくに過ぎています。社会人歴だって、もう3年を過ぎています。世間一般から見たら立派な「大人」なのに、私がしていたことは・・・。

当時を思い出すと、顔から火が出そうなくらい恥ずかしいのですが、あそこで私を見捨てずに指導いただいた上司・先輩方には感謝でいっぱいです。

カウンセリング開始

自分は何かおかしい。そのことに気づき、すぐに県内のカウンセラーを調べ、予約しました。

親のこと、職場のこと、変わりたいと思ったこと、全部話しました。藁にも縋る思いでした。

この時、私は話しながら泣き、過呼吸になっていました。でも、カウンセラーさんに「過呼吸になってるよ、ゆっくり息を吸って」と言われるまで、まったく自覚していませんでした。

小さい子が、泣きすぎて「ゲホッ、オエッ」ってなっている、そんな感じです。泣いた時、こうなるのは私にとって「当たり前」でした。

支離滅裂な私の話をカウンセラーの方は最後まで聞いてくれて、「辛かったね、今までよく頑張ったね」と優しく声をかけてくれました。号泣しました。
そんな言葉をかけてもらったのは、初めてでした。

両親が、大嫌いだった。

自分の機嫌で当たり散らして、私を自分の思う通りにコントロールしてくるところも。
私の話を最後まで聞かずに、自分たちの価値観を押し付けてくるところも。
私の自尊心をズタズタに傷つけてくるところも。

「良いお父さんだね」「良いお母さんだね」
そう言われるたび「違う!!」と叫んでやりたかった。

私は、今でもオンラインでカウンセリングを受けています。
30年近く受け続けてきた心の傷は、簡単には治りません。

かつての私と同じように「親を嫌いになってはいけない」と考えている人は、きっと多いはず。
もし今、同じような思いで苦しんでいるなら、まずは自分の気持ちを大事にしてほしいです。

同じ苦しみを抱えた人が、少しでも減りますように。

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