毒親から距離を置くための一人暮らし──私が自由を取り戻した最初の一歩
毒親から距離をとり、一人暮らしを決めた日──“自分の人生は自分で動かしていい”と気づいた瞬間
親との関係が「普通」ではなかったこと、また、その負の連鎖が自分の中に染みついていたことに、私は気づくことができました。
このまま実家にいたら、私は一生「誰かの顔色だけを見て生きる人間」のまま。
そんなのは、絶対に嫌だ!!
と、強く思いました。
そして、私が選んだのは「一人暮らし」を始めることでした。
この選択は、ただの引っ越しではなく、今でも私の人生の大きな転機だったと思います。
なぜ、一人暮らしを選んだのか
両親の影響を再認識した時、正直、胸の奥がズキリと痛みました。
怒りに敏感になってしまう反応、他人の表情のわずかな変化に怯える癖、物事を決める基準が「怒られないかどうか」という考え方……。
「このまま親と同じ空間にいる限り、この思考は一生抜けないかもしれない」
そう思うと、恐怖すら覚えました。
ちょうど20代後半に差し掛かっていた私には、表向きの理由がいくつもありました。
- 職場に慣れ、収入も安定した
- 実家から職場まで約2時間もかかっていた
- 周りの同年代が徐々に自立し始めていた
この条件が揃ったことで、
自然な流れを装いながら、親に怪しまれることなく準備を進めることができました。
もし本音をぶつけたら何を言われるか分からなかったので、理由づくりは私にとって重要な防衛手段でした。
一人暮らしの準備は、まさに「ゼロからの手探り」
実は、旅行すらほとんど経験がなく、外泊の文化もない家だったため、一人暮らしの準備は完全に未知の世界。
物件探しの知識はゼロで、右も左もわからない状態でした。
ネット検索で調べまくり、一人暮らし経験のある友人に質問攻めをし、少しずつ必要な条件がまとまってきました。
当時の条件はこんな感じです。
- 家賃 5万円以下
- バストイレ別
- 職場から徒歩15分以内(駅から遠くてもOK)
- 2階以上
幸運なことに、丁寧に話を聞いてくれる不動産屋の担当者に出会い、条件にぴったりの物件を見つけることができました。
しかもオートロック付きです。
まだ入居中の物件だったため内見はできませんでしたが、現地に足を運び、パソコンを使って写真や設備を見ながらしっかり説明をしてくださったので不安はありませんでした。
ここまでは順調でした。
問題は、この後。
書類を見た父と弟の反応——「またコントロールしようとしてる」
契約書類を家に持ち帰った瞬間、空気が変わりました。
「内見もせずに決めるなんて馬鹿じゃないのか!」
父と弟が口々に責め立て、私は深く後悔しました。
馬鹿正直に話してしまったことを。
さらに、驚いたのは、
私が仕事に行っている間に、父親が不動産屋へ電話し、火災保険を解約するという暴挙に出ました。
仕事から帰ってくるなり、「必要ないから解約しておいた」と言われた時は唖然としました。
新しい保険を付けるならまだしも、私に相談も何もなしに勝手なことをする父親に対して、怒りが沸いたのは言うまでもありません。
ちなみに、その様子を見ていた母親は、
「父さんは人事にいたりして手続き慣れてるからね!」
と、誇らしげに言っていました。
なんというか、呆れました。
インテリアも「自分で選びたい」と伝えていたにもかかわらず、実家に眠っていた古い家具を押しつけられ、挙句の果てには勝手に好みでない物まで買ってくる始末。
「やめてほしい」と喉元まで出ましたが、ここで揉めて一人暮らしが水の泡になってはいけない…と必死に我慢しました。
(ちなみに、この時期もカウンセラーには度々相談に乗ってもらいました。)
私は、ただただ耐えました。
自分の人生を守るために。
一人暮らし開始——想像以上の「自由」と、想像以上の「無知」
無事に迎えることができた新生活。
一般的には「最初の1週間はホームシックになるよ」と言われがちですが…。
私は、まったくなりませんでした。
むしろ天国でした。
- 誰の顔色も見なくていい
- 物音に怯えなくていい
- 自分が選んだ家具に囲まれる
- 好きな時間に寝て、好きな時間に起きる
どれも初めてで、新鮮で、そして心から快適でした。
ただ、自由を味わう一方で、もっと痛感したことがあります。
いかに自分が世間知らずだったか
実家では父のカードで何でも買っていたため、
家計管理という概念そのものがなかった のです。
- ガスの料金はいくら?
- 電気代ってどれくらい?
- 食費って月に何万円かかる?
- 雑貨を買うと意外に高い?
そのすべてが、初めて知る現実でした。
大学時代にアルバイトで稼いだお金で物を買った時の喜びはありました。
ですが、当時ですら「なんでこんなもの買ったんだ」「もっと安いので十分だろう」などとケチをつけられていました。
自分で稼いだお金を、自分の判断で使うという体験が、常に邪魔されていた のです。
一人暮らしを始めて、自分の財布からお金を出し、自分の選んだ物を買う。
その当たり前の行為が、私には新鮮でした。
小さな買い物ひとつが“自由の象徴”に思えました。
結婚すれば逃げられる——本気でそう信じていた
今だから冷静に言えますが、当時の私は本気で、
「毒親から逃げる方法=結婚しかない」
と思っていました。
名字を変えることで「今までの自分を捨てたい」という気持ちが強かったのです。
ただ、実家にいると婚活をする自由すらありませんでした。
少し外出しようものなら、
- どこへ行くのか
- 誰と会うのか
- 何時に帰るのか
逐一詰められ、息が詰まるばかり。
そんな環境で婚活など成立するはずもありません。
だからこそ、一人暮らしを思い立った理由のひとつは、
自分の将来を考えるための自由を手に入れるため
でもありました。
婚活編は改めて別の記事にしますが、この時点の私は「逃げるための選択肢を広げたい」という必死さの方が大きかったと思います。
一人暮らしは、人生の再スタートだった
振り返ると、一人暮らしはただの生活の変化ではなく、
「自分の人生を自分の手に取り戻す」ための最初の行動 でした。
常に誰かの機嫌に怯え、怒られないように息を潜めてきた日々。
そこから抜け出すためには、生活そのものを変える力が必要でした。
あの静かな部屋、初めて自分だけの空間で感じた自由。
それが、私の“生き直し”の始まりだったのだと思います。
