ずっと生きづらかった理由は、家の中にあった──親の影響に気づいた私の話
こんな家庭で育った私は、どんな大人になったのか
前回の記事では、父親の暴力性と、母親の無自覚な差別的ふるまいに挟まれて育ったことを書きました。
今回は、その家庭環境が私の性格や行動にどんな影響を残していたのか、自分なりに整理してみたいと思います。
書きながらつくづく感じるのですが、家庭の空気というのは本当に“身体に染みる”んですね。
意識しようがしまいが、私の中には父親と母親から受け取った癖が、見事なまでにそのまま残っていました。
「大人になった私」は、まさかの“父親のコピー”
社会人になって3社目に入った頃。
当時の私は、正直に言えばかなり扱いにくい新人でした。
- すぐ怒る
- 思ったことを即口にしてしまう
- 自分が正しいと思い込みがち
- 不満があると、すぐ「誰もわかってくれない」と拗ねる
- 人の話を最後まで聞けない
今ならハッキリわかります。
これは、まんま父親の行動パターンでした。
“自覚ゼロで父親と同じことをしていた”という事実に気づいたときの衝撃といったら…。
あの家庭の空気の中で生き延びるために身につけた癖が、
まさか職場でそのまま発動していたとは思いもしませんでした。
きっかけは、ある先輩のひと言です。
「あなたは、もういい大人なんだから」
その瞬間、胸に刺さるというより、視界が開けたような感覚がありました。
あれは叱責ではなく、「あなた自身の人生を、自分で扱っていいんだよ」という意味だったのだと今はわかります。
無意識の“母親のクセ”まで再現していた自分
父親に似るだけではありませんでした。
気づけば私は、母親がよくやっていた行動もそのまま受け継いでいました。
母親は、こちらが話していても途中で遮り、自分の話に持っていく癖がありました。
そのたびに私は「どうせ話なんて聞いてもらえない」と思っていたのに。
…気づいたら、私が同じことをしていたのです。
相手が話している最中に勝手に“オチ”を想像して焦り、口を挟む。
不安になると自分の意見だけ押し通そうとする。
本当は聞いてほしいのに、なぜか人の言葉を最後まで聞けない。
父親への恐怖と、母親への諦め。
その二つが混ざり合った結果、「人との会話そのものが怖い」という感覚まで育ってしまっていました。
家族の中で植えつけられた“役割意識”
もうひとつ大きかったのが、「家族内の立場」をめぐる歪んだ力関係です。
父親からすれば、私は「従うべき存在」で、逆らえば怒鳴られる。
母親からすれば、私は「聞き役」で、話題は常に彼女中心。
弟と妹の扱いにも偏りがあり、家の中は常に“誰が得して誰が損しているか”を気にする空気に満ちていました。
そんな環境で育った私は、無意識にこんな癖を持つようになっていました。
- 自分の立場が弱いと感じると、即座に逃げモードに入る
- 相手が年上・権力者だと極端に萎縮する
- 人との距離感がうまくつかめず、必要以上に自分を守る
- 「どうせ理解してもらえない」と結論を急ぐ
今振り返ると、これらは家庭における“生存戦略”だったのだと思います。
けれど、この戦略は社会ではむしろ私を苦しめる原因になりました。
「自分は何かおかしい」──そこでようやく向き合いが始まった
先輩の言葉がきっかけで、私はようやく自分を疑い始めました。
「これは性格じゃなくて“育ちの影響”なのでは?」と。
そこからカウンセリングを受けることにしました。
今回は深くは触れませんが、専門家と話す時間は、自分のパターンを理解する助けになりました。
“話を最後まで聞いてもらえる”という体験自体が、私にはほとんどなかったので、
それだけでも心が少し軽くなったのを覚えています。
ただ当然ながら、30年染みついた癖はすぐには消えません。
私の中にはまだ父親の影も、母親の影も残っています。
でも、それを「自分なんだから仕方ない」で済ませるつもりはありません。
気づいたなら、向き合える。
そう思えるようになっただけでも、私にとっては大きな一歩でした。
「親を嫌ってはいけない」の呪いから抜け出すまで
私と同じように、“親を嫌ってはいけない”という思い込みを抱えている人は多いと思います。
「外側の義務は果たしてくれたんだから」
「虐待されていたわけじゃないんだから」
「恵まれている方だよね」
そう言われるたびに、私は心の中で叫びたかった。
「違う。私はずっと苦しかった!」
けれど、その苦しさを言葉にするだけの力が、あの頃の私にはありませんでした。
家族という一番近い存在からの傷ほど、“説明できない痛み”になるのだと痛感します。
まとめ:家庭環境は、人格の“土台”を静かに作る
今回の記事で書いたことは、私の過去をただ並べるためではなく、
- なぜ私はあの頃、あんな行動をしてしまったのか
- なぜ他者とのコミュニケーションが極端に苦手だったのか
- なぜ年上男性や大きな声に異常に怯えてしまうのか
そういった“理由”を自分で理解するための振り返りです。
家庭環境は、人格の“土台”に直接作用します。
意識していなくても、そこから逃げ回っていても、影響は静かに残り続ける。
でも、それは「もう変われない」という意味ではありません。
自分の癖を知れば、少しずつ扱い方がわかるようになります。
私もまだ道の途中ですが、過去に振り回されるのではなく、過去を理解したうえで前に進む生き方を選びたいと思っています。
